国語の種

当座は休校中の学習の手引きを載せます。

助動詞「べし」について

「新成古典2」の2「徒然草」で用いられている、助動詞の「べし」について、複数の人からメールで質問をもらいました。

 

助動詞「べし」は、テキストにあるように
当然そうなるという確信を持った推量や可能を表す言葉です。
 
現在使用している古典文法のテキストでは。
推量 意志 当然 適当 命令 可能と文法的な意味を規定していますが、
別のテキストでは、当然、義務と読んでいるテキストもあります。
「義務」 しなければならない、は、当然の中に含んだり、分けたりしているのです。
 
ここからもわかるように、「べし」の訳し分けは線が引きにくいです。
 
推量 当然 可能の間に、完全な線を引くのが難しい用例が沢山あります。
同様に、命令 勧誘も線が引きにくいです。
 
ですので、余り固定的に考えなくて大丈夫です。
 
結局「べし」は「べし」でしかなく、別の言葉に完全に言い換えることは出来ない。
これは、去年の現代文のソシュールの主張を思い出すとわかってもらえると思います。
 
さて
①『国のため、君のために、やむことを得ずしてなすべき事多し。』
解答では、義務になっていますが、当然で問題ありません。
 
②『思ふべし、人の身に、やむことを得ずして〜』
解答では勧誘になっていますが、命令でも義務でも当然でも、意味が通じます。
解答の現代語では、考えてもみよ、と書いてあるから、むしろ義務とか、命令とか
当然の方がふさわしいんじゃないでしょうか。
 
③『病に犯されぬれば、その愁へ、しのびがたし。医療忘るべからず。』
解答では義務ですが、命令ととることが当然出来、
打消の「ず」に続いているので、二語で禁止の意味にとるところです。
 
訳し分けが難しく、くっきりと明確な正解を求める高校生には、面倒くさい言葉が「べし」と言えると思います。